【8・15な話】

浮世離れした京都という環境のせいか、戦争について深く考える機会はそんなになかった。
父方の祖父は体が不自由で、母方の祖父は医者だったため、戦争には行っていない。
戦争経験者が身近にいなくて、聞きたくても聞けなかった。
大学生のこの日、TVから流れてくる無惨な映像を観ていて、
いてもたってもいられなくなってほとんど何も持たずに、飛び出した。
近くのインターへ。

行き先は、広島。
人の温かさを感じたくて、誰かと何か話しながら行きたくて、ヒッチハイクで行くことにした。
京都から、広島への距離、約400 km。
3台乗り継いで、到着したら目の前は「広島原爆ドーム」。

1台目の美容師のお姉様、
2台目の医学生お2人様、
3台目のヤンキー系新婚ご夫婦様、

身元不明の怪しい人物を乗せてくださって有難うございました。

広島に到着したのは、早朝。
ちょうど、そこにツアーのガイドのお姉さんがいらっしゃったので、話しかけてみた。
私がどういう思いで来たのかを伝えると、共感してくださり、
休憩時間にも関わらず、戦地を色々と案内してくださった。

小学校、病院、工場地、、そして爆心地。
どこに行っても、悲しい香りが漂っていた。
京都市街が終戦までほぼ無傷であった理由は、原爆を落とす最有力候補地として温存されていたから。
もしかしたら、今の京都の姿はこうだったのかもしれない。

その後、一人で平和記念資料館へ。
あそこで過ごした2時間、あの時感じた思いは今も忘れません。
そこにそれまで味わったことのない感情、
悲しみ、叫び、怒り、恨み、一瞬にして無くなった子供達の笑顔、、

早く、家族に会いたくなった。
京都へ帰って、大切な友達に会いたくなった。
自分と同い年の人間が、特攻隊として戦場へ。
恋人とも離れ離れ。
今、自分の置かれている環境がどんなに恵まれているか、
自分がどれだけちっぽけな人間か思い知らされた。

京都へ帰ってからは、平和のイベントの立ち上げメンバーとして活動を始めた。

「きょうから始まる温CO知新プロジェクト」略してきょうおんプロジェクト。
主に大学生が主体となり、
先人たちから受け継いだ戦争体験の歴史と平和への想いを未来の社会に伝えていくことを趣旨に立ち上げた。
>> 強靭な支援と資金がほしい。: スタッフブログ きょうから始まる温CO知新: http://oncochishin0815.seesaa.net/article/156760682.html

共著ではあったが、当時のありのままの思いを恐れずことばにした本も出版した。

忙しいと忘れてしまう、感謝の気持ち。
余裕がないと、他人に優しくできないこともある。

今日の、この日は、静かに考える。
今周りにいてくれる人、出会ってくれた人に、心から感謝。

About the author: ゆーりーん

代表取締役